源泉徴収税の計算方法と手続きの基本
この記事では「源泉徴収税」のしくみと、計算・手続きの流れをはじめての方にもわかりやすく整理してご紹介します。
※当事務所では源泉税の代行業務は行っていませんが、会社設立後の相談でよく聞かれる内容のため、参考情報としてまとめています。
1. 源泉徴収税とは?
源泉徴収税とは、会社が従業員の給与や賞与から所得税をあらかじめ差し引いて、代わりに国へ納める制度のことです。
このしくみにより、従業員自身が確定申告で税金を納める必要がなくなり、会社側がまとめて手続きを行います。
つまり、従業員にとっては手間が減り、会社側は毎月きちんと処理を行うことで信頼性を高めることができます。
2. 源泉徴収税の計算手順
源泉税の計算は、以下の4つのステップで進めます。
ステップ①:非課税となる手当を差し引く
まずは、通勤手当や出張旅費など、非課税対象の手当が含まれていないかを確認しましょう。
- 通勤手当(一定額まで非課税)
- 出張旅費(社内規程に基づく支給の場合)
たとえば、通勤手当が月15,000円支給されている場合でも、非課税限度額内であればその分は課税対象から除外されます。
ステップ②:社会保険料を控除する
次に、給与から以下の保険料を差し引きます。
- 健康保険
- 厚生年金
- 雇用保険
これにより、控除後の金額が「課税対象額」となります。
そのため、毎月の保険料を正確に把握しておくことが重要です。
ステップ③:扶養控除を確認する
続いて、「給与所得者の扶養控除等申告書」の有無を確認します。
- 配偶者や扶養家族がいる → 控除あり
- 障害者を扶養している → 控除額がさらに増える
この申告書が提出されていれば「甲欄」扱いとなり、税額が軽減されます。
一方で、未提出の場合は「乙欄」扱いとなり、控除が適用されず、税額が高くなります。
ステップ④:税額表で最終確認
最後に、国税庁が発表している「源泉徴収税額表」を使い、算出された課税対象額に応じた税額を確認します。
- 月払いの場合 → 月額表を使用
- 日払い・短期雇用 → 日額表を使用
なお、毎年税制改正により表の内容が変更されるため、最新版を使用することが非常に重要です。
3. 計算例でイメージをつかもう
実際のケースで考えると、より理解しやすくなります。
ケース①:申告書提出あり(甲欄)
- 支給額:30万円
- 通勤手当:4,200円(非課税)
- 社会保険料:4万円
- 課税対象額:30万円 − 4,200円 − 4万円 = 25万8,000円
- 税額表(甲欄)を参照 → 仮に所得税4,000円
ケース②:申告書提出なし(乙欄)
- 同条件でも控除がないため、課税額が高くなる
- 税額表(乙欄)を参照 → 仮に所得税6,000円
このように、申告書の有無だけでも税額に大きな差が出るため、事前の提出を徹底することが大切です。
4. 注意すべきポイント
源泉徴収の手続きで間違いを防ぐため、次の点に注意しましょう。
- 扶養控除等申告書の提出:提出の有無で税額が大きく異なります。
- 非課税手当の整理:通勤費や出張旅費はよく見落とされがちです。
- 税額表は最新版を使用:税制改正があるため、毎年国税庁サイトで確認を。
- 支給形態に合った表を使用する:月給制か日給制かで使う表が変わります。
※令和6年分の源泉徴収税額表は、国税庁公式サイトで公開されています。
まとめ
- 源泉徴収税は、給与や賞与からあらかじめ差し引かれる所得税のこと
- 計算は次の4ステップで進めます:
- 非課税手当を除く
- 社会保険料を控除
- 扶養控除を反映
- 税額表で確認
適切に処理することで、会社と従業員双方にとって安心な給与管理が可能になります。
会社設立後の税務手続きに不安がある方は、那覇市のあらかき行政書士事務所までお気軽にご相談ください。
※税務代理そのものは行っておりませんが、書類準備や申告フローに関するアドバイスは対応可能です。
参考リンク:国税庁|給与所得の源泉徴収税額表
参考リンク:厚生労働省|扶養控除等申告書について