通勤災害とは?労災が認められる条件と例

通勤災害とは?通勤中のケガ・事故に労災は使える?【行政書士コラム】

「通勤中に転んでケガをしてしまった…これって労災になるの?」 そんな不安を抱えた経験はありませんか?

この記事では、通勤災害の基本と対象になるケース、手続きの流れを、行政書士の視点からわかりやすくご紹介します。

ただし、通勤災害の申請手続きそのものは社会保険労務士(社労士)の業務分野です。したがって、この記事はあくまで制度の理解を深めるための一般的な情報提供を目的としています。


通勤災害ってなに?

まず、通勤災害とは、出勤や退勤の途中で起きたケガや事故が労災保険の対象になる制度のことです。

ポイントは次の2つを満たしていることです。

  • 合理的な経路と方法で通勤していたこと
  • 業務の性質を持たない、通常の通勤行為であること

つまり、いつもの通勤ルートで普通に行動していた範囲なら、対象になる可能性が高いということです。

認められやすい例

  • 保育園への送り迎え
  • スーパーやコンビニでの日用品の買い物
  • 病院での受診
  • 選挙の投票
  • 電車の遅延でやむを得ず徒歩で帰った場合

実は、これらは法律上も「逸脱・中断の例外」として明記されている行為です。だからこそ、寄り道のあとに通常の経路に戻れば、その後も通勤として扱われます。

認められにくい例

  • 映画館やカフェでの長時間の滞在
  • 飲み会や居酒屋への立ち寄り
  • 飲酒運転・無免許運転など、法律違反による事故
  • 仕事と関係ない私的な外出

一方で、寄り道の内容が私的なものだと、その時点から先は通勤として扱われなくなります。


実際のケースで考えてみよう

それでは、具体的なケースで判断のイメージをつかみましょう。

ケース1:保育園に立ち寄った場合

たとえば、会社員の鈴木さんが、保育園に子どもを迎えに行く途中で転倒し、ケガをしました。

このケースでは、保育園への立ち寄りが日常的な行為と認められるため、通勤災害に該当する可能性が高いといえます。なぜなら、子どもの送り迎えは厚生労働省令で定められた「逸脱・中断の例外」に含まれているからです。

ケース2:帰宅途中に居酒屋へ

一方、田中さんが仕事帰りに居酒屋へ立ち寄り、帰り道で事故に遭ったとします。

この場合、居酒屋への立ち寄りは私的な行為とみなされます。そのため、通勤災害の対象にはなりません。


通勤災害の手続き|基本の流れ

ここからは、もし通勤災害にあった場合の基本的な流れをご紹介します。

① 労災指定病院で受診する

もしケガをしたら、まず労災指定病院を受診しましょう。

受付では「労災での受診です」と必ず伝えてください。ちなみに、通勤災害の場合は初回のみ200円の一部負担金がかかります。ただし、健康保険のような3割負担はありません。

② 必要な書類を準備する

続いて、「療養給付たる療養の給付請求書(様式第16号の3)」を作成します。

ここで大切なのは以下の点です。

  • ケガの状況・発生場所・時刻を具体的に書くこと
  • 合理的な経路を通っていたことを説明できるようにすること

ちなみに、業務災害(仕事中のケガ)と通勤災害では使う様式が違います。したがって、書類選びには注意が必要です。

③ 労働基準監督署へ提出する

それから、書類を労働基準監督署に提出します。その結果、内容が認められれば労災保険が適用されます。


通勤災害が認められる条件まとめ

条件判断のポイント
合理的な経路と方法寄り道が日常的な範囲かどうか
通常の行為業務に支障を与えない範囲か
中断・逸脱の有無経路の説明ができるか

よくあるケース別の判断早見表

状況適用される?備考
保育園への送り迎え日常的な行為として認められる
スーパーでの買い物日用品の購入は例外として認められる
期日前投票公民権の行使として法令上の例外
病院の受診厚生労働省令上の例外行為
居酒屋での飲酒×私的行為として対象外
映画鑑賞×長時間の私的行為は対象外

専門家に相談しましょう

このように、通勤災害の申請手続きは社会保険労務士(社労士)の業務分野です。そのため、行政書士は申請の代理や書類作成を行うことができません。

もし実際に通勤災害にあわれた場合は、次のいずれかにご相談されることをおすすめします。

  • お勤め先の総務・人事担当者
  • お住まいの地域を管轄する労働基準監督署
  • 労災に詳しい社会保険労務士

要するに、迷ったらまずは労働基準監督署の窓口へ。なぜなら、無料で相談に乗ってもらえるからです。


関連リンク(参考)

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