口約束は遺言にならない?死因贈与の要件と注意点を解説
記事内容
「口約束は遺言として効力を持つのでしょうか?」
よく耳にするのが、「私が死んだら、この財産を君にあげるよ」という言葉。
しかし、このような口約束には法的効力がないことをご存じですか?この記事では、口約束と遺言の違い、そして「死因贈与」という形式について詳しく解説します。
口約束は遺言ではない
遺言書は、法律に基づいた形式で作成されて初めて効力を発揮します。たとえば、「財産を譲る」と被相続人(亡くなった方)が言ったとしても、それだけでは法的拘束力はありません。この場合、口約束は遺言ではなく、「死因贈与」という契約になります。
死因贈与とは?
死因贈与とは、贈与者(財産を譲る人)が亡くなった時点で効力を発揮する贈与契約のことを指します。この契約を成立させるには、以下の要件を満たす必要があります。
① 証人の存在
死因贈与の成立には、口約束を聞いた証人が必要です。証人は「贈与者」「受贈者(財産をもらう人)」とともに、その場に立ち会い、内容を記録しておく必要があります。
② 相続人全員の承諾
相続財産が減少する可能性があるため、相続人全員の同意が不可欠です。同意の証として、実印と印鑑証明を取得することが求められます。
立証が難しい口約束
口約束だけでは、贈与の成立を証明するのは極めて難しいです。さらに、相続人全員の承諾を得ることも簡単ではありません。これが、死因贈与が法的に厳格な条件のもとで運用される理由です。
書面があった場合
万が一、口約束ではなく書面が残っている場合でも、それが法的に有効な証拠となるには、贈与者・受贈者双方の署名と押印が必要です。これらが揃わない場合、贈与の証拠として認められない可能性があります。
「死んだらあげる」と言われたら?
被相続人から「死んだらこの財産をあげる」と言われた場合は、必ず適切な手続きを取りましょう。具体的には以下のポイントを押さえてください:
- 証人を立て、内容を記録する
- 贈与契約書を作成し、双方が署名・押印する
- 相続人全員から同意を得る
これらの手続きを行うことで、贈与の正当性を証明でき、相続トラブルを防ぐことができます。
ポイントまとめ
- 口約束は遺言ではなく死因贈与として扱われる
- 証人と記録が必要
- 相続人全員の承諾が必須
- 書面がなければ立証が困難
参考リンク:公正証書遺言の作成方法
注意点
「死因贈与」は、贈与者が軽い気持ちで言った言葉が原因で相続トラブルに発展するケースも少なくありません。
そのため、相続財産の分配に関する意向がある場合は、公正証書遺言を作成するなど、法的に確実な手続きを取ることをおすすめします。
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