相続財産調査の重要性と手順をわかりやすく解説
相続が始まると、最初に直面する大切な作業が 「相続財産の調査」 です。どの財産が相続対象になるのか、初めての方にとっては不安がつきもの。しかし、調査を怠ると、後々トラブルの原因になりかねません。
この記事では、相続財産の調査手順や注意すべきポイントについて詳しく解説します。大切な作業をスムーズに進めるための参考にしてください。
なぜ相続財産の調査が必要なのか?
「相続財産」とは、被相続人が所有していた プラスの財産 と マイナスの財産 を含めたすべての財産を指します。この調査を行うことで、以下の目的が達成できます:
- 遺産分割協議の基準を明確にする
- 相続税の申告が必要か確認する
- 相続放棄や限定承認を選択するための材料を集める
また、相続放棄や限定承認を決定するには、相続開始から 3ヶ月以内 という期限があるため、調査を早めに行うことが重要です。
相続財産の種類と具体的な調査手順
1. プラスの財産
- 不動産:土地や建物(宅地、農地、山林など)
- 金融資産:預貯金、現金、有価証券など
- その他の資産:自動車、宝石、ゴルフ会員権など
2. マイナスの財産
- 借金:住宅ローン、自動車ローン、買掛金
- 税金:被相続人が未納の所得税(準確定申告で明らかに)
- 保証債務:保証人としての負債
3. 相続対象外の財産
- 香典:非課税扱いの贈与
- 死亡退職金:遺族の生活保障として支給されるため非相続財産
- 遺族年金:被相続人の年金に基づく支給金
- 生命保険金:一定の非課税枠を超える部分のみ課税対象
財産調査の流れと実践方法
1. 遺言書の確認
相続のスタート地点として、遺言書の有無を確認します。遺言書は次の場所に保管されていることが一般的です:
- 家庭内(机、金庫など)
- 公証役場(公正証書遺言の場合)
遺言書が発見された場合は、記載された内容に従って財産を調査します。
2. 財産の調査を実施
被相続人の家や所有物を確認し、以下の書類を探します:
- 預貯金通帳や有価証券
- 借入契約書や請求書
また、役所や金融機関、トランクルームなども確認対象です。必要に応じて専門家に相談することで漏れを防ぐことができます。
3. 財産目録の作成
調査結果を基に、財産を一覧化した「財産目録」を作成します。これは、遺産分割協議書を作成する際に重要な資料となります。
注意すべきポイント
準確定申告を忘れない
被相続人が亡くなった年の所得税を申告する「準確定申告」は、相続開始から4ヶ月以内に行う必要があります。未納の所得税は債務に含まれ、還付金が発生した場合は相続財産に加算されます。
隠れた財産や相続人に注意
調査を進める中で、隠れていた財産や相続人が見つかるケースがあります。たとえば:
- 隠れた財産:忘れられていた通帳や契約書
- 隠れた相続人:過去の結婚で認知された子ども
戸籍を遡って確認することで、法定相続人を正確に把握できます。
財産調査をスムーズに進めるコツ
生前から準備する
被相続人が存命のうちに、財産や負債について話し合い、必要な情報を共有しておくことで、相続の手続きが格段にスムーズになります。
専門家に相談する
財産調査や手続きに不安がある場合は、行政書士や税理士に相談するのがおすすめです。プロの力を借りることで、効率的かつ確実に調査を進められます。
まとめ:相続財産調査の重要性
相続財産の調査は、相続手続きをスムーズに進めるための重要なステップです。
- 財産と負債を正確に把握
- 財産目録を作成し、遺産分割協議に備える
- 隠れた財産や相続人を見逃さない
調査が不十分だと、後々トラブルに発展する可能性があります。必要に応じて専門家の力を借りながら、安心して手続きを進めてください。
参考リンク:国税庁「準確定申告の手続き」