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遺言と遺言書の違い、知っていますか?
「遺言」と「遺言書」。この2つの言葉、似ているようで違いがあります。でも、その違いを知っている人は意外と少ないのではないでしょうか?そこで今回は、遺言と遺言書の違い、さらに遺言書の種類や作成時の注意点について詳しく解説します。この記事を読めば、大切な財産や思いを正しく伝えるための第一歩がわかります。
遺言と遺言書の違い
まず、遺言と遺言書の違いについて簡単に説明します。
遺言とは?
「遺言」とは、亡くなった人が残す最後の思いを言葉にしたものです。例えば、「この家は長男に譲るよ」という口頭での伝え方も遺言に含まれます。ただし、このような口頭の遺言には法的効力はありません。
遺言書とは?
一方、「遺言書」は、遺言を法律に則った形式で書面にしたものです。正しく作成された遺言書は法的効力を持ち、相続や財産分配において重要な役割を果たします。
つまり、遺言は気持ちや意図を伝えるものであり、遺言書はそれを形にして法的に有効にするための手段なのです。
遺言書でできること
遺言書を作成することで、以下のようなことが可能になります:
財産に関すること
- 相続人の指定
- 遺産の分け方の明記
- 特定の人や団体への財産の贈与(遺贈)
- 生命保険の受取人変更
身分に関すること
- 子どもの認知
- 相続人からの除外(相続人の廃除)
- 未成年者の後見人の指定
その他
- 祭祀承継者の指定(仏壇や墓の管理者)
- 遺言執行者の任命
遺言書の種類とその特徴
遺言書には、大きく分けて以下の3つの種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を選びましょう。
1. 自筆証書遺言
- 作り方:遺言の全文、日付、氏名を遺言者自身が手書きで記載し、押印する。
- 特徴:手軽で費用がかからない。ただし、形式に不備があると無効になるリスクがあります。
- ポイント:2020年から法改正により、自筆証書遺言の保管を法務局に依頼できるようになりました。
2. 公正証書遺言
- 作り方:公証役場で公証人に作成を依頼し、証人2人の立会いのもとで作成。
- 特徴:法的に最も安全な方法で、紛失や改ざんの心配がありません。
- 注意点:費用がかかるため、しっかり準備をしてから依頼しましょう。
3. 秘密証書遺言
- 作り方:遺言書を封筒に入れ、署名・押印したうえで公証人と証人に証明してもらう。
- 特徴:内容を秘密にできるが、紛失や形式の不備に注意が必要。
自筆証書遺言のメリットと注意点
メリット
- 費用がかからない。
- 自分一人で作成できる。
- 何度でも修正が可能。
注意点
- 遺言全文は手書きでなければなりません(パソコン作成は無効)。
- 日付を明確に書く。
- 必ず署名と押印をする。
遺言書作成時のポイント
- 法律に従った形式で作成する
適切な形式でなければ無効になる可能性があります。 - 専門家に相談する
不安がある場合は、行政書士や弁護士に相談しましょう。 - 保管場所を明確にする
家族が遺言書を見つけられないと意味がありません。必要であれば、公証役場や法務局に保管を依頼することをおすすめします。
まとめ
「遺言」は口頭で伝えるもので、「遺言書」は法的効力を持たせるための書面です。遺言書を作成することで、相続や財産分配を円滑に進めることが可能になります。遺言書の種類や作成時の注意点を押さえて、自分や家族にとって最適な形を選びましょう。