建設業許可を得た後の義務とは?見落としがちな基本ルールを解説
「やっと建設業の許可が取れた…これで一安心!」 そんなふうに思った方、多いのではないでしょうか?
でも、実は許可を取った“その後”にも、ちゃんと守らないといけない義務がいくつもあります。 届出を出さなかった、標識を設置しなかった、帳簿を保存していなかった…。 これらはすべて、建設業法違反につながるおそれがあるんです。
今回は、建設業の許可を取得したばかりの方や、これから申請を考えている方に向けて、 建設業許可を取得したあとの基本的な義務について、わかりやすく整理しました。
1. 変更があったらすぐに「届出」が必要(建設業法施行規則第9条の2ほか)
許可を取ったあとに、経営体制や会社情報に変更があった場合は、 すぐに届出を提出しなければなりません。
よくある届出の例としては:
- 経営業務管理責任者が変わった(2週間以内)
- 役員の交代があった(30日以内)
- 常勤性に関する変更があった(変更後2週間以内)
期限が決まっているため、「気づいた時点ですぐに書類を準備すること」が大切です。 届出が遅れると、更新や変更時に支障が出ることもあります。
2. 営業所と現場に「標識」を掲示する義務(建設業法施行規則第20条の10)
建設業許可を受けた業者は、営業所や工事現場に標識を掲示する必要があります。
掲示が必要な情報:
- 許可番号
- 営業所の名称
- 代表者名など
標識は、外から見える場所・人目につきやすい位置に掲げなければなりません。 これにより、事業の透明性が高まり、発注者や地域からの信頼も得やすくなります。
3. 工事内容は「帳簿」で記録・保存(建設業法施行規則第19条)
工事ごとに内容を記録した帳簿を作成し、一定期間保存することも義務です。
帳簿に記載すべき情報:
- 工事名や現場の住所
- 契約日・注文者の氏名
- 完成検査日・引渡し日
保存期間は原則5年間。ただし、新築住宅などは10年間の保存が必要です(住宅瑕疵担保責任法に準拠)。 帳簿はトラブル時の証拠としても有効なため、正確に整理しておくことが重要です。
4. 図書(工事関係書類)の保存義務(建設業法施行規則第21条の2)
発注者から直接請け負った工事では、図書の保存も必要です。
保存対象:
- 完成図(受領していれば)
- 発注者との打合せ記録
- 施工体系図(必要な場合)
保存期間は営業所ごとに10年間。紙・電子媒体どちらでも構いませんが、管理しやすい形式で保存することが推奨されます。
5. 下請代金の支払い期限を守る(建設業法第19条の3)
下請業者に対する代金の支払いにも期限があります。
支払い期限は、以下のどちらか早い方までに支払う必要があります:
- 元請が発注者から代金を受け取った日から1か月以内
- 工事引渡しの申し出を受けた日から50日以内
これを守らないと、下請業者との関係悪化や行政処分の原因になることもあります。
義務を知っていれば、信頼される会社になれる
建設業許可を取ることで、仕事の幅は大きく広がります。 でも、その後のルールを知らずに進めてしまうと、せっかくの信頼を損ねてしまう可能性も。
義務は決して多すぎるわけではありません。 「何が必要なのか」「いつまでにやるのか」を知っていれば、落ち着いて準備ができます。
ご相談はお気軽に
あらかき行政書士事務所では、建設業許可の取得や変更・更新に関するご相談を承っています。
届出のタイミングや書類の整え方など、 「これは必要なのかな?」と思った時点で一度お問い合わせください。 あなたの業務がスムーズに進むよう、わかりやすくご案内いたします。