施工体制のルールとは?建設業の基本を解説

施工体制のルールとは?建設業の基本を解説

建設業の許可を取ったあと、「現場では何を気をつけたらいいんだろう?」と不安になったことはありませんか?

工事を安全に、そして正しく行うためには、技術者の配置や書類の作成、代金の支払いなど、いくつか守るべきルールがあります。
これらをまとめて「施工体制のルール」と呼びます。

知らずにやってしまうと、法律違反になってしまったり、発注者との信頼関係が崩れたりすることも。
この記事では、建設業を営む方に向けて、現場で守るべき基本的なルールをわかりやすく解説します。


技術者を現場に配置することが義務です

建設工事を請け負う場合、元請か下請かにかかわらず、現場には技術者を配置しなければならないというルールがあります。

  • 一般建設業者には「主任技術者」の配置が必要です

  • 特定建設業者には「監理技術者」の配置が求められます

これは、現場の技術的な管理を確実にするための基本です。

たとえば、複数の会社が関わるJV(共同企業体)の工事では、全ての参加企業が自社で技術者を確保している必要があります。
「うちは小さい現場だから関係ないだろう」と思っていても、規模に関係なく守らなければならない決まりです。


一定額を超える工事では「専任」が必要になります

工事の金額がある程度以上になると、配置する技術者を「専任」にしなければならないケースもあります。

  • 請負代金が4000万円以上

  • 建築一式工事の場合は8000万円以上

この場合、技術者はその現場に専属でつかなくてはならず、他の現場と兼ねることはできません。
理由は、現場の品質や安全を確保するためです。

現場を掛け持ちしていると、どうしても目が行き届かなくなってしまいます。
そのため、一定以上の規模になると、専任体制が求められるわけです。


工事の「丸投げ」は法律で禁止されています

建設業法では、「一括下請負」が禁止されています。

たとえば、元請業者が工事をまるごと他の業者に回す、あるいは下請業者がさらにすべてを他社に任せてしまう。
こういった丸投げは、工事の品質や責任の所在があいまいになるため、法律で認められていません。

「忙しいから他社に任せる」は理由になりません。
元請として契約した以上は、一定の管理責任を果たさなければならないのです。


一定の条件で書類作成も必要になります

現場に関わる下請業者の体制を明確にするために、「施工体制台帳」や「施工体系図」の作成が義務になるケースがあります。

以下のような場合には注意が必要です:

  • 公共工事で、発注者から直接請け負い、かつ下請契約を結んだとき

  • 民間工事で、4500万円以上(建築一式工事は7000万円以上)を下請業者に発注するとき

これらの書類を作成することで、現場に関わる全ての会社や担当者の関係性が明確になります。

工事の途中や完了後に提出を求められることもあるため、前もって準備しておくと安心です。


下請業者を指導する立場になることもあります

特定建設業の許可を持っている業者は、下請業者に対して法令を守るよう指導する立場にもなります。

さらに、もし下請業者が建設業法などに違反した場合には、是正の指示を出すとともに、必要であれば行政庁に報告しなければならない義務もあります。

つまり、「工事を出して終わり」ではなく、元請として現場全体を正しく管理する責任があるということです。


下請代金の支払いにも期限があります

工事が終わったあと、下請業者への代金支払いにもルールがあります。

支払い期限は、次のどちらか早い方までとされています:

  • 元請が発注者から代金を受け取った日から1か月以内

  • 下請業者から工事の引渡し申し出があった日から50日以内

これを守らずに支払いが遅れてしまうと、下請業者との信頼関係にヒビが入るだけでなく、トラブルや行政指導の原因にもなります。


よくあるトラブルは「知らなかった」が原因です

施工体制に関するルールは、意外と細かく、つい見落としてしまうことも多いです。

  • 技術者の専任義務を知らずに兼務させていた

  • 一括下請負をしていたことに気づいていなかった

  • 台帳を作成しておらず、提出を求められて慌てた

  • 支払い期限を超えてしまった

こうしたトラブルの多くは、「知らなかった」「ついうっかり」がきっかけになっています。


まとめ:基本を押さえてトラブルを防ごう

施工体制のルールは、工事を安全に進めるために欠かせないものです。

  • 現場には必ず技術者を配置する

  • 一定金額を超える工事では専任が必要

  • 丸投げは禁止

  • 書類の作成が必要な場合がある

  • 下請への指導責任がある

  • 代金の支払い期限が決まっている

このように、やるべきことは多くても、ひとつひとつはそれほど難しいものではありません。
前もって把握しておけば、現場で慌てることもなくなります。


ご相談はお気軽にどうぞ

建設業許可を取ったあと、「施工体制に関するルールがよく分からない」と感じたら、まずはお気軽にご相談ください。

あらかき行政書士事務所では、那覇市を中心に建設業許可の申請・更新・変更手続きについてのご相談を承っています。

ルールを正しく理解し、安心して工事に取り組めるよう、一歩ずつ準備していきましょう。

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