専任技術者の実務経験が緩和|改正ポイントを解説
「いろんな業種を経験してきたけど、専任技術者にはなれないの?」 そんな不安を抱えている方も多いかもしれません。でも、実は実務経験の要件が緩和されているってご存じですか?
この記事では、最新の制度改正をもとに、専任技術者の実務経験の緩和内容やポイントを、できるだけわかりやすく解説します。
実務経験の緩和ってどういうこと?
「10年も同じ業種で働かないとダメなんでしょ?」とあきらめていた方に朗報です。制度が変わって、いろんな現場での経験がしっかり評価されるようになりました。
これまで「専任技術者になるには、申請する業種で10年の経験が必要」と言われてきましたが、 今では、関連する他業種での経験も合算できる仕組みに変わりました。
▼ 現在の基本要件
- 許可を受けたい業種で 8年以上の実務経験
- 関連する他業種での経験とあわせて 合計12年以上の実務経験 があればOK
つまり、「建築一式で8年+大工工事で4年」など、関連がある業種であれば経験を“合わせて”カウントしてもらえるのです。
【具体例】どんな業種の組み合わせが認められるの?
一式工事 ➡ 専門工事への加算が可能
一式工事の経験 | 加算できる専門工事 |
---|---|
土木一式工事 | とび・土工工事、しゅんせつ工事、水道施設工事 |
建築一式工事 | 大工工事、内装仕上工事、屋根工事、ガラス工事、防水工事、熱絶縁工事 |
専門工事同士でも加算可能な例
専門工事A | 専門工事B |
---|---|
大工工事 | 内装仕上工事 |
土木工事 | しゅんせつ工事 |
※ 注意:専門工事から一式工事への加算はできません。また、まったく関連性のない工事同士も加算対象外になりますので、注意してください。
複数業種の専任技術者になるには?
かつては「2つの業種で専任技術者になるには、各業種ごとに10年ずつ=20年の経験が必要」でした。
ですが、平成11年10月1日からの改正で、条件が緩和されています。
▼ 現在の基準:合計16年でOK!
業種1 | 業種2 | 実務経験年数(例) |
---|---|---|
大工工事 | 内装仕上工事 | 各8年(合計16年) |
土木工事 | しゅんせつ工事 | 各8年(合計16年) |
このように、関連のある2つの専門工事業種でそれぞれ8年以上の経験があれば、同時に専任技術者になることも可能になりました。
加算にまつわるよくある誤解
「同じような工事だから加算できると思っていたのに、実は加算対象外だった…」というケースも少なくありません。 たとえば、防水工事とガラス工事のように施工現場が近い場合でも、技術的共通点が少ないと判断されることもあります。
加算の可否は“工事の名前”ではなく、“作業内容の技術的な関連性”で見られるため、名称だけで判断するのは危険です。
緩和のメリットって?
「この経験はムダにならないのかな?」と感じていた方にとっては、本当にありがたい制度改正です。
実務経験要件が緩和されたことで、次のようなメリットがあります。
- 他業種の経験が活かせる! → 転職経験や下請け時代の経験もカウントできる可能性
- 資格取得までの時間が短縮! → 昔よりずっとキャリアアップが早くなった
- 人材の活躍の場が広がる! → 建設業界全体のスキル循環にもプラス
まとめ:自分の経験をムダにしないために
- 専任技術者になるには、「申請業種で8年以上の実務経験」が必要
- 関連業種での経験を加算して「合計12年以上」で要件クリア
- 2業種で専任技術者になる場合、各8年以上(合計16年)でOK
昔は難しかった「多業種での経験」が、今ではしっかりと評価されるようになっています。
「この経験って加算されるのかな?」と迷ったら、専門家に確認するのが一番確実です。
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