「会社を2つに分ける理由とは？税金対策・リスク管理をやさしく解説」
「会社を分けるって、どういうこと？」「そんなにメリットがあるの？」
そんな疑問を持っている方へ向けて、この記事では会社を2つにする（いわゆる法人の複数設立）理由とメリットを、誰にでもわかるように丁寧に説明します。
実は、会社を2つ持つことで、節税やリスク分散といった経営上の大きなメリットが得られることがあります。もちろん、デメリットもあるので、その点も含めて見ていきましょう。
1. 法人税を安くするために分ける
まずは「法人税」の仕組みについておさらいしましょう。
会社が出した利益には、法人税がかかります。そしてこの税率は、利益が大きくなるほど上がっていく「累進課税」という仕組みです。
● 1社だけの場合の例
- 会社の利益が1600万円あるとします。
- 最初の800万円には15%の税率 → 800万円 × 15% = 120万円
- 残りの800万円には23.2%の税率 → 800万円 × 23.2% = 185.6万円
- 合計：305.6万円の法人税
● 2社に分けた場合の例
- A社とB社、それぞれの利益が800万円ずつの場合：
- A社：800万円 × 15% = 120万円
- B社：800万円 × 15% = 120万円
- 合計：240万円の法人税
つまり、税金が65.6万円安くなるんです！
2. 給与を分散して所得税を抑える
個人がもらう給料にも、「所得税」がかかります。 この所得税も「たくさんもらえばもらうほど高くなる」仕組みです。
会社を2つ持って、それぞれから給料をもらうと、合計の税金が安くなることもあります。
● 1社から1000万円もらう場合
- 税率が30%になる → 税金：300万円
● 2社から500万円ずつもらう場合
- A社：500万円 × 20% = 100万円
- B社：500万円 × 20% = 100万円
- 合計：200万円
このように、税金が100万円も安くなる可能性があります。
3. 経費をうまく分散できる
経費とは、会社の活動に必要な費用で、利益から差し引くことができます。 2つの会社があると、それぞれで経費を活用できるため、節税につながる場合があります。
たとえば、オフィスの家賃が30万円かかるとしたら…
- 1社だけで払えば → 経費は30万円
- 2社で半分ずつ払えば → A社15万円、B社15万円 → 各社の利益を減らして節税につながる
ただし、分けるためには「実際にそれぞれの会社で事業をしている」ことが必要です。
4. 経営リスクの分散になる
事業をしていると、うまくいかないことも当然あります。
たとえば、1つの会社でトラブルが起きて赤字になったとしても、もう1つの会社が健全であれば、全体としてのダメージを減らすことができます。
また、赤字が出た年は「損失の繰り越し（最長10年）」ができ、将来の利益と相殺して税金を減らすことができる場合もあります。
5. 税制優遇を複数活用できる
会社には、規模に応じてさまざまな税制優遇があります。
たとえば、中小企業に適用される特別な税率、減価償却の特例、各種補助金制度などです。
これらの制度は「1社ごと」に適用されることが多いため、会社を2つ持っていると、それぞれで活用できる可能性があるのです。
注意点：デメリットもある
ここまで「会社を2つにするメリット」をお伝えしてきましたが、もちろん注意点もあります。
- 会社を作るときの設立費用が2倍かかる
- 毎年の決算・申告が2つ必要になる
- 管理が複雑になる（通帳・印鑑・帳簿なども2つずつ）
- 節税目的とみなされて税務調査が入りやすくなる場合も
ですから、「なんとなく分けておこう」ではなく、しっかりとした理由と計画が必要です。
まとめ：会社を2つにするのは戦略のひとつ
法人を複数持つことで、
- 法人税や所得税の節税
- 経費の活用範囲の拡大
- 経営リスクの分散
- 税制優遇制度の活用
といった多くのメリットがあります。
しかし、管理の手間やコストが増えること、ルールに違反しないように注意することなど、慎重に判断すべき要素もあります。
実際に会社を分けるべきかどうかは、事業の内容や成長性によっても変わります。
まずはご自身の状況に合った判断を
会社を2つにするべきかどうかは、業種や経営状況によって変わってきます。
設立手続きや書類の準備に不安がある方は、あらかき行政書士事務所までご相談ください。
また、税金の取り扱いや申告内容については税理士が専門となります。節税や税務面での詳細な相談をご希望の方は、税理士のサポートもあわせてご利用いただくと安心です。
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