定款をなくしてしまったときの対処法とは?
「会社の定款をなくしてしまいました。どうすればいいですか?」
最近、こんなご相談をいただきました。
定款は、会社の基本ルールが書かれた大切な書類です。なくしてしまうと不安になりますが、落ち着いて対応すれば大丈夫。
この記事では、定款を紛失したときに取るべき対応と、再取得の手順をわかりやすくご紹介します。
まずは公証役場での再取得を検討しましょう
株式会社などの場合、設立時に公証役場で定款の認証を受けています。
この場合、公証役場に連絡することで定款の写し(謄本)の再発行が可能です。
▼公証役場を特定するために確認したい資料
たとえば、次のような資料が役立ちます:
- 登記事項証明書(法務局で取得可能。設立年月日や代表者の名前から公証役場を絞り込めます)
- 設立当時の記録や契約書
- 関与した専門家(司法書士・行政書士など)の情報
▼公証役場に連絡する際の流れ
まずは、会社名や設立年月日を伝えて、再発行が可能かどうかを確認しましょう。
そのうえで、以下の書類を準備する必要があります:
- 法人の印鑑証明書
- 代表者の本人確認書類
- 再発行依頼書(公証役場指定の書式)
そして、手数料(数千円程度)を支払えば、定款の再取得ができます。
社内にコピーやデータが残っていないか確認
次に、会社内に定款のコピーやデータが残っていないかも確認しましょう。
意外と、紙のコピーやPDFデータが保管されていることもあります。
- 紙のコピーが見つかれば、内容の確認や再作成の参考になります。
- パソコンやクラウドに保存しているデータがあれば、印刷や編集が可能です。
ただし、正式な手続きでは原本や公証役場からの写しが必要となる場合が多いため注意しましょう。
法務局で会社情報を確認しよう
定款そのものは法務局に保管されていませんが、会社の基本情報が記載された登記事項証明書を取得することで、一部の情報を確認できます。
たとえば、商号・本店所在地・事業目的などが記載されています。
- 取得方法:法務局で直接申請、またはオンライン申請
- 手数料:1通あたり600〜700円程度
この証明書を参考にして、定款を再作成することも可能です。
定款を再作成する場合のポイント
万が一、公証役場での再取得が難しい場合は、定款の再作成も視野に入れて対応しましょう。
具体的には、以下の点を意識して再作成を進めます:
- 登記事項証明書の内容を反映
- 現在の会社の実情に合うよう調整
- 必要であれば、行政書士や司法書士に内容をチェックしてもらう
とくに許認可申請などで提出する場合には、誤りのない内容が求められます。
急ぎの手続きがあるときは専門家へ相談を
もし「すぐに定款が必要!」というケースであれば、行政書士や司法書士といった専門家に相談するのが安心です。
たとえば、次のようなメリットがあります:
- 書類の作成や再取得を代行してくれる
- 手続きのスピードが早く、トラブルを避けやすい
特に時間が限られているときは、自力で進めるより効率的です。
紛失を防ぐためにできること
定款の紛失を防ぐには、ふだんからの工夫が大切です。
たとえば:
- コピーをスキャンして、クラウドやUSBメモリに保存する
- 書類専用の保管ケースや金庫にしまう
- 管理者を決めて、定期的に保管状況をチェックする
これらを習慣づけることで、大切な書類をしっかり守ることができます。
最後に:焦らず、早めの行動を
定款を紛失すると焦ってしまいがちですが、正しい手順を踏めばきちんと対応できます。
まずは、落ち着いて社内や関係機関を確認し、必要に応じて専門家の力を借りましょう。
そして、今後同じことが起こらないよう、日頃の保管方法を見直すことも大切です。
不安なときは、いつでも専門家に相談してみてください。