建設業の売掛金回収と内容証明の使い方
「工事は終わったのに、請負代金が支払われない…」 「何度も催促しているのに、はぐらかされてばかり…」
そんな悩みを抱える建設業者の方も多いのではないでしょうか。 実際、下請け業者や個人事業主にとって、未回収の売掛金(請負代金)は資金繰りを直撃する深刻な問題です。
この記事では、建設業における売掛金トラブルの解決手段として「内容証明郵便」を活用する方法を、現場目線でわかりやすく解説します。
なぜ内容証明が有効なのか?建設業の現場で使われる理由
内容証明郵便とは、「誰が・いつ・誰に・どのような内容で通知したか」を郵便局が証明してくれる郵送方法です。
建設業の売掛金回収において内容証明が効果的な理由は、以下の3つです:
- 相手にプレッシャーを与え、支払いの意思を確認できる
- 「請求した事実」を証拠として残せる
- 裁判などの法的手続きに進む前の“最後通告”として使える
特に、書面で正式に通知することで「本気で請求している」という姿勢が伝わり、相手の対応が変わるケースもあります。
内容証明が効果を発揮するのはこんなとき
- 工事完了後、請負代金の支払い期日を過ぎても入金がない
- 支払いの話をすると「もう少し待ってほしい」と先延ばしされている
- 連絡が取れなくなった・話が噛み合わなくなった
- 口約束だけで契約書がない(証拠が弱い)
このような状況で泣き寝入りしてしまう前に、内容証明で正式に請求することが有効です。
内容証明に記載すべき内容と注意点
内容証明の文面には、以下のような情報を含める必要があります。
必ず記載すべき項目
- 工事の名称、内容、実施日
- 契約金額と支払い期日
- 未払いとなっている金額
- 支払いを求める意思表示
- 支払いを求める期限(例:到達後7日以内)
- 支払いがなければ法的手続きを取る旨
書き方のポイント
- 感情的な言葉や攻撃的な表現は避ける
- 冷静で事実ベースにまとめる
- 相手の会社名や代表者名、住所を正確に記載する
文面例(抜粋)
「令和◯年◯月◯日、貴社から請け負った◯◯工事(◯◯市◯丁目◯番地)につきましては、同年◯月◯日に全工程を完了し、報告書および請求書を送付いたしました。しかし、現在に至るまで代金の支払いが確認できておりません。
つきましては、本書到達後7日以内に下記口座までお支払いくださいますようお願い申し上げます。期日までにご対応いただけない場合は、やむを得ず法的措置を検討せざるを得ませんので、ご了承願います。」
内容証明の送付方法と費用について
手順:
- 書面を3通用意(相手用・差出人控え・郵便局保存用)
- 封筒は別に用意し、中には何も書かない
- 郵便局(大きめの窓口)で「内容証明+書留」で送付依頼
費用の目安:
- 内容証明加算料:約450円
- 書留料:約430円
- 郵送料:約84円
合計で1000円前後のコストで送付できます。
内容証明のあとにできること(支払いがない場合)
もし内容証明を送っても支払いがない場合、次の手段を検討しましょう:
- 少額訴訟(請求金額60万円以下なら簡易裁判)
- 通常訴訟(契約書や証拠をもとに本格的に請求)
- 支払督促(裁判所に申立てる書面のみの手続き)
なお、内容証明を出しておくことで、「支払請求をした記録」が残るため、後の裁判で有利に働きます。
内容証明が効かない場合とは?
- 相手がすでに資金難で支払い能力がない
- 会社が倒産寸前で事実上の逃げ
- そもそも連絡先が不明・音信不通
こうしたケースでは、弁護士に相談し、差押えや資産調査、仮差押えなどの準備も必要です。
専門家に依頼するメリット
「自分で書くのは難しい」「相手が法人なので緊張する」そんなときは行政書士のサポートを受けるのがおすすめです。
- 業種ごとの言い回しや専門用語に対応
- 正確で伝わる文面を一緒に作れる
- 手続きの流れや必要書類も案内可能
- 公正証書などの併用方法も提案可能
まとめ|売掛金の放置は命取り。早めの対処が未来を守る
- 工事完了後は、必ず書面で請求し記録を残すこと
- 内容証明郵便は、未払い対策として有効
- 支払いがなければ、少額訴訟・支払督促など次の行動へ
- 書面づくりや手続きに不安があるときは、行政書士へ相談を
未回収の請負代金を放置しておくことは、経営上のリスクそのものです。 あらかき行政書士事務所では、建設業の現場にも寄り添った債権回収支援を行っています。
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参考リンク:日本郵便 – 内容証明について