「会社を作ったけれど、今はもう動かしていない」そんな状態のまま、何年も置いてしまっている方は少なくありません。「特に何もなければ大丈夫だろう」と思いがちですが、動かしていない会社にも費用やリスクが残り続けます。
この記事では、放置した会社に何が起きるのか、そして休眠・解散のどちらを選ぶべきかを、整理してお伝えします。
何もしていなくても、お金とリスクは残る
会社は登記されている限り、事業をしていなくても「存在している会社」として扱われます。そのため、活動していなくても次のような負担が残ります。
- 法人住民税の均等割:赤字でも発生します。資本金1,000万円以下の会社で、年に7万円程度かかるのが一般的です。
- 固定資産税:会社名義で土地や建物を持っていれば、使っていなくても課税されます。
一方、法人税・法人事業税などは、利益がなければかかりません。これらは活動に応じて発生するためです。問題は、均等割のように「事業の有無に関係なく毎年かかる」費用が、放置している間ずっと積み上がっていくことです。
放置の最大のリスクは「みなし解散」
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。会社法では、12年間まったく登記をしていない株式会社は、国の手続きによって強制的に解散させられることになっています。これを「みなし解散」といいます。
「事業をしていないだけで、なぜ?」と思うかもしれませんが、株式会社の役員には任期(最長10年)があり、本来は10年に一度は役員変更の登記が必要です。12年も登記がない会社は実体がないとみなされる、という仕組みです。
毎年10月ごろ、対象になった会社には法務局から通知が届きます。期限までに役員変更などの登記、または「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしないと、職権で解散の登記がされてしまいます。知らないうちに会社が解散扱いになっていた、ということが実際に起こります。
しかも、あわてて手続きをしても、本来の時期に登記を怠っていた事実は消えず、100万円以下の過料が科されることがあります。「動かしていないから登記もいらない」は通用しません。
なお、合同会社などの持分会社には役員の任期がないため、このみなし解散の制度はありません。対象は株式会社(と一部の一般法人)です。
「放置」と「休眠」は違う
「事業をやめれば自動的に休眠になる」と思っている方がいますが、これは誤解です。正式に休眠扱いにするには、税務署や自治体への届出が必要です。届出をしない限り、会社は活動中とみなされ、決算や申告の義務が残り続けます。
きちんと休眠の届出をすれば、申告の手間が軽くなる場合があります。ただし、休眠中でも次の2点は残るので油断は禁物です。
- 法人住民税の均等割や固定資産税は、引き続き発生する
- 役員の任期が来れば、登記(役員変更)は必要。放置すると前述のみなし解散の対象になる
もう再開しないなら「解散」という選択
今後も事業を再開する予定がないなら、会社を解散して清算する方法があります。手続きを終えれば法人格は消滅し、均等割などの毎年の負担もなくなります。長い目で見れば、維持コストも気持ちの負担も軽くなります。
解散のおおまかな流れはこうです。
- 株主総会で解散を決議する
- 法務局へ解散の登記をする
- 税務署・自治体へ解散の届出をする
- 資産や負債を清算する
- 清算結了の登記をして完了
まず「現在地」を確認しましょう
次の5つに「いいえ」がないか、確認してみてください。
- 最後の登記(役員変更など)から、年数が経ちすぎていないか
- 住民税(均等割)の通知に対応できているか
- 役員の任期切れなど、登記すべきことが残っていないか
- 許認可の更新や報告は済んでいるか
- 会社名義の口座や契約は整理できているか
1つでも「いいえ」があれば、その項目から手をつけるのが早道です。放置するほど、後の手間と費用がふくらみます。
よくある質問
Q. 何年も登記していませんが、会社は今も残っていますか?
残っている可能性が高いですが、12年登記がないと「みなし解散」で職権により解散登記がされている場合があります。心配なときは、登記事項証明書を取って現状を確認するのが確実です。
Q. 休眠と解散、どちらを選べばいいですか?
将来また事業を使う可能性があるなら休眠、もう再開しないなら解散が基本の考え方です。ただし休眠でも均等割や登記は残るため、状況によって有利な選択は変わります。
Q. 自分の会社が今どうなっているか分かりません。
登記の状況、税の届出、許認可など、確認すべき窓口が分かれているため、迷う方は多いところです。まずは現状を一緒に整理し、休眠・解散・継続のどれが合うかを見極めるところから始めるのがおすすめです。
まとめ
- 動かしていない会社でも、均等割や固定資産税は毎年かかる
- 12年登記がないと「みなし解散」で強制的に解散させられることがある
- 登記を怠っていた事実には、100万円以下の過料が科されることもある
- 休眠にするにも届出が必要。再開しないなら解散も選択肢
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