商品が届かないときの返金請求と内容証明
「代金を支払ったのに、商品が届かない…」 「期日を過ぎても、買ったものを引き渡してくれない…」
そんな状況にお困りではありませんか?
特に個人間取引や小規模な取引先との間では、商品が納品されないまま連絡が取れなくなったり、「もう少し待ってほしい」と言われ続けたりするケースも少なくありません。
この記事では、商品を買ったのに期日までに引き渡しがなされない場合に、内容証明郵便を使って「契約解除」と「代金の返還」を正式に請求する方法をわかりやすく解説します。
商品が引き渡されないとき、どう対応すればいい?
まず、商品が期日までに引き渡されない場合でも、いきなり契約解除はできません。 民法では、相手に「履行の猶予期間」を与え、その期限までに履行されなければ契約解除が可能とされています(民法541条)。
つまり、買主であるあなたが正式に「◯日までに商品を引き渡してください」と猶予を与え、それでも渡してもらえなかった場合には、契約を解除し、代金の返金を請求できるのです。
内容証明を使うべき理由とは?
口頭やメールでの催促では、「言った・言わない」になってしまいがちです。そこで、内容証明郵便を使うことで、以下のようなメリットがあります:
- 正式な請求であることが相手に伝わる
- 発送日・文面・相手が明確に記録として残る
- 裁判になったときの証拠として使える
- 相手への心理的なプレッシャーとなり、反応を得られやすい
このように、内容証明には「記録」「証拠」「圧力」の三拍子が揃っており、交渉の出発点として非常に有効です。
内容証明に書くべき内容とは?
内容証明の文面は冷静かつ事実に基づいて構成しましょう。具体的には、以下のような情報を含めるのが基本です。
含めるべき項目:
- 商品名、注文日、支払日、支払金額
- 引き渡し期日と、その期日を過ぎたこと
- 猶予期間(例:本書到達後7日以内)の設定
- 猶予期間内に引き渡されない場合、契約を解除する旨
- 契約解除後は返金を求める意思表示
- 振込先の口座情報
文面例(抜粋)
「令和◯年◯月◯日、貴殿より◯◯商品を◯◯円で購入し、同日中に代金を支払いました。
しかしながら、約定の引き渡し期日である令和◯年◯月◯日を過ぎても、いまだ商品が納品されておりません。
つきましては、本書到達後7日以内に速やかに商品を引き渡していただきたく存じます。
万一、上記期限までに引き渡しがなされない場合、契約を解除するとともに、支払済みの代金◯◯円の全額返金を請求いたします。下記口座まで速やかにご返金くださいますよう、お願い申し上げます。」
内容証明の送り方と費用
送付手順:
まずは、文書を3通作成します(自分用・相手用・郵便局保管用)。次に、封筒は別途用意し、中には何も書かないようにします。そして、郵便局で「内容証明+書留」として送付します。
費用の目安:
- 内容証明加算料:約450円
- 書留料:約430円
- 通常郵送料:約84円
おおよそ1,000円程度で利用できます。
内容証明のあとはどうなる?対応がない場合の流れ
猶予期間を経ても商品が届かず、相手からも返答がない場合は、正式に契約を解除し、代金返還の手続きへ進みましょう。
- 支払督促:簡易裁判所に書面のみで申し立て可能
- 少額訴訟:60万円以下なら迅速な審理が可能
- 通常訴訟:金額が大きい場合や争点が複雑な場合に対応
いずれの場合も、内容証明を出しておけば「正式に請求した証拠」として有利に働きます。
内容証明が効かない場合の対処
内容証明には強制力がないため、次のようなケースでは追加対応が必要になります。
- 相手が倒産寸前で返金能力がない
- 音信不通で連絡が取れない
- 返金に一切応じる気がない
こうした場合には、行政書士や弁護士に相談して、資産調査や仮差押え、訴訟手続きに移ることが現実的です。
行政書士に相談するメリット
「どう書けばよいかわからない」「送っていい内容なのか不安」と感じる方は、行政書士に相談することをおすすめします。
- 状況に応じた文面を一緒に作成できる
- 相手に伝わる表現で、冷静な請求が可能
- 証拠や手続きの整理もサポート
- 必要に応じて公正証書など他手段も提案可能
まとめ|商品を渡してもらえないときは、内容証明で明確に意思を伝える
- 商品引き渡しがされない場合は、猶予期間を設けて正式に通知
- 内容証明で記録を残し、契約解除と返金を請求
- 対応がない場合は支払督促や訴訟も視野に入れる
- 不安なときは行政書士に相談して、安全かつ適切な対応を
商品を買ったのに手元に届かないまま。 そうした不誠実な対応から身を守るためにも、早めに動き出すことが大切です。
あらかき行政書士事務所では、内容証明による通知から、その後の対応までを丁寧にサポートしています。 まずはお気軽にご相談ください。