飲食店営業と風営許可の違いとは?知らずに違反しないために
「飲食店営業の許可は取ったから、スナックもそのまま始められるよね?」
「居酒屋とスナックって、許可の種類は一緒じゃないの?」
「風営許可って特別な店だけじゃないの…?」
そんなふうに思っていませんか?
実は、飲食店営業と風営許可はまったく別の制度です。
どちらもお酒を出すお店に必要そうな印象がありますが、
求められる内容や手続き、取扱いは大きく異なります。
この記事では、「飲食店営業の許可」と「風営許可」の違いについて、
これから開業を考えている方にもわかりやすく整理してお伝えします。
まずは飲食店営業許可とは?
「飲食店営業許可」とは、食品衛生法に基づいて、保健所から取得する許可のことです。
これは、どんなお店でも「食品や飲み物を提供する場合」に必要になります。
たとえば:
定食屋、カフェ、居酒屋
スナック、バー、ラーメン店
食事付きのキャバクラ
こういったお店はすべて、保健所からの飲食店営業許可を取得しなければ営業できません。
この許可では、厨房設備、清掃状態、シンクの数、冷蔵庫の温度管理など、
「食の安全」に関する基準が審査されます。
一方、風営許可とは何のためのもの?
風営許可は、正式には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に基づく許可で、
お客様に対して“接待”をするお店が対象になります。
具体的には次のようなお店が該当します。
スナック(女の子が隣に座って会話する)
キャバクラ、ホストクラブ、ラウンジ
ガールズバーなどで過度な接客を行う場合
つまり、お酒を出すことそのものではなく、「接待の有無」で風営許可の必要性が決まるのです。
飲食店営業許可だけではスナックは開けない?
よくある勘違いですが、
「飲食店営業の許可があるから、スナックもそのまま営業できる」というのは大きな誤解です。
たとえばこんなケース:
保健所の許可は通った → だからすぐに営業スタート!
↓
接客あり・お酌あり・歌の相手もしていた → 警察の立ち入り → 風営法違反として指導・営業停止に…
これは、飲食店営業許可だけでは「接待行為」は認められていないためです。
スナックやキャバクラなど、お客様と親しく接する営業スタイルのお店には風営許可が必須になります。
「接待」とはどんな行為を指すの?
風営法における「接待」とは、単に会話するだけでなく、
お客様を楽しませることを目的とした親密な接客を指します。
たとえば:
隣に座って一緒にお酒を飲む
お酌をする・グラスを持つ手に触れる
会話を盛り上げる・下の名前で呼び合う
カラオケのデュエットや合いの手
こうした行為がスタッフによって行われていれば、
「接待」と判断され、風営許可がないと違法営業になるリスクがあります。
ではどんなケースなら風営許可はいらない?
次のような場合は、風営許可を取らずに営業できる可能性があります。
カウンター越しにお酒を提供するだけ
スタッフが座らず、食事やドリンクの提供に徹している
お酌や密な会話をしない
会話はあってもあいさつ程度で、歓楽的な雰囲気ではない
つまり、お客様に“楽しませるための行為”がないお店は、風営許可の対象外とされることがあります。
ただし判断が非常に難しいため、「接待していないつもりでも、警察にはそう見られた」というケースもあります。
飲食店許可と風営許可の違いまとめ
項目 | 飲食店営業許可 | 風営許可(1号) |
---|---|---|
根拠法令 | 食品衛生法 | 風俗営業法(風営法) |
管轄 | 保健所 | 警察署(公安委員会) |
審査内容 | 衛生・厨房設備 | 営業時間・接客方法・図面など |
対象店舗 | 食事や飲み物を出すすべての飲食店 | 接待を伴う飲食店のみ |
主な確認点 | 食中毒防止・衛生管理 | 接待の有無・照度・構造・用途地域 |
営業時間の制限 | 原則なし(条例によりあり) | 原則0時まで(地域により1時) |
どちらの許可が必要か迷ったときは?
「うちは簡単なスナックだから風営許可は不要だと思っていた…」
「お客さんにちょっとお酌するくらいは問題ないはず…」
そんな軽い気持ちで始めた営業が、後々風営法違反として処分されてしまうこともあります。
自分のお店の営業スタイルで、どの許可が必要なのか不安な場合は、
事前に専門家へ相談するのが一番確実です。
まとめ|許可の違いを知ることがトラブル予防になる
飲食店営業許可と風営許可は別物
お酒を出すだけなら飲食店営業許可だけでOK
お客様に接待する場合は風営許可が必要
形式ではなく「営業の実態」で判断される
わからない場合は必ず確認することが大切
あらかき行政書士事務所では、
スナック開業やバー運営に必要な許可の確認・取得手続き・図面作成などを一貫してサポートしています。
「自分のお店はどちらが必要なのか分からない…」という方も、
お気軽にご相談ください。